「Steel Pulse」のアルバム「Tribute to the Martyrs」を聞いていきます。(引用:Tribute to the Martyrs)

メンバー
Steel Pulse オリジナルメンバーに加え、下記の方々が参加。
- Godfrey Maduro – saxophone
- Dick “Dickage” Cuthell – flugelhorn, cornet
- Rico – trombone
- Satch Dixon
- Godwin Logie – engineer
- Pete King – executive producer, management
- Jene Hawkins – cover illustration
リリース年:1979 年 6 月
曲構成
1
- “Unseen Guest”
- “Sound System”
- “Jah Pickney – R.A.R.”
- “Tribute to the Martyrs”
2
- “Babylon Makes the Rules” (Selwyn Brown)
- “Uncle George”
- “Biko’s Kindred Lament”
- “Blasphemy (Selah)”

用語説明
歌詞内に登場する気になる用語を調べてみた。
ロック・アゲインスト・レイシズム(RAR)
1976年~1982年に発足した政治的文化運動(political and cultural movement)。どうやら音楽との結びつきも強いようだから、パンクムーブメントととらえてもいいのかもしれない。
RARのきっかけは、エリッククラプトンが黒人に対して侮辱発言したことらしい。1974年にi shot the sheriffを出しているのにその発言、’Holy Crap‘tonだよな、がっかり。
ナショナルフロント(National Front)
イギリス国民戦線と訳され、極右政党。白人至上主義で現在では小規模政党だが1970年代から1980年代にかけて支持率が上昇していたよう。「レイシストの政治団体」とも表現されているサイトもあった。
Jah Pickney
Pickneyはパトワ語(英語とアフリカの言語をベースにしたクレオール言語、ジャマイカ語とも)で「子供」の意味のよう。kid、childなどの同義語らしい。
特にJah Pickneyという人物が当時居たわけではなさそう。(間違ってたらコメントでご指摘ください)
Toussaint L’Ouverture
トゥーサン・ルーヴェルチュール。最初の黒人共和国ハイチの独立運動を指導した黒人。黒人から尊敬を多く集める。

Malcolm X
アフリカ系アメリカ人の急進的黒人解放運動指導者でイスラム教導師。1965年2月21日に暗殺される。歌詞内の「血塗られた1965年」はこのこと。

モラント港の暴動(Morant Bay rebellion)
1860年代の度重なる経済状況悪化によって、白人農園主と黒人ジャマイカ人との間に緊張が高まったことによって起きた反乱。女性や子供を含む多くの死者を出し、激しい論争を巻きおこした。

ジョージ・ジャクソン(George Jackson)
アフリカ系アメリカ人の解放闘争を行っていたブラックパンサー党の指導者のひとり。アンクルジョージは彼のこと。
ビコ(Bantu Stephen Biko)
バントゥー・スティーヴン・ビコ。1960年代後半と1970年代の草の根的な反アパルトヘイト・キャンペーンの最前線にいた人物。1977年8月に監禁され殴打されたのちに死亡した。

Psalm 109 v2-3

旧約聖書の詩編第109編のことで「サーム」と読む、Pは発音しない。ジャケット裏面の絵の中の文章。
For the mouth of the wicked and the mouth of the deceitful are opened against me: they have spoken against me with a lying tongue. They compassed me about also with words of hatred; and fought against me without a cause.
DeepLでの訳は下記。
悪人の口と欺く者の口とがわたしに向かって開かれ,彼らはうその舌をもってわたしにむかって語ったからである。 彼らは憎しみのことばでわたしを囲み,理由もなくわたしと戦った。
情報が全然なかったので、下記が私の推測だ。(間違い等ありましたらご指摘ください!)
よくアメリカで、Psalm 109 v8が原理主義者の讃美歌として使われていいるよう。それよりも番号が若いv2-3の言葉を用いて非難することによって、ブーメラン構造を作り出すことに成功している。のかも。


全体の雰囲気
クレイジーなボーカルから始まって、funkyなシンセフレーズ、独特なキメ、ヘビーに決めてくるレゲエグルーヴ。歌詞のほうは「Jahよ 俺の手に勝利を」。歌詞はすごく暗い内容なのにレゲエでもって明るくつくられると不気味さが少しある。
サウンドのほうはクラシック手法をなぞる形というか、私の大好きなルーツレゲエの風味を漂わせてくれる素敵な作り方だと思う。前衛的な曲の導入、各楽器陣の伝統的なレゲエ奏法は私の大好物。
当時に速いテンポのパンクが流行っていた時代にレゲエで、政治的歌詞を載せるのは斬新だったのかもしれない。私は生まれていないので空気感は知りません。


まとめ
最後に私の独断と偏見で評価する。
ジャケットデザイン:★★★★★
音質 :★★★☆☆
アナログ向け :★★★★☆(ジャケットは大きく見たい)
筆者おすすめ度 :★★★★☆
いかがでしたでしょうか?
私もまだまだ知らないことばかりですので、
訂正や補足など是非コメントお待ちしております。
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